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■2002年7月29日
そのエキセントリックで... Vol.1
--謎の人物。M氏が作家としてここでデビューする。
今回は、M氏執筆の実話に基づくエッセイをお送りいたします。
唐突だが、僕には高額な物を買いたいという、ある種衝動買いに近いノリの買い物を楽しむ癖がある。

それだけではない。
「どうせすぐ飽きるのに」「買ったという満足感を味わって終わりなのに」 自問自答する。
しかし、これも衝動買いのあとの日課になっている。
その日も、いつもと同じノリでいつもと同じように出かけた。
案の定、かなりの金額と荷物になってしまった…

しかし、今回は何とも言いがたいおまけも付いて来た。
店を出る前からこの荷物ではタクシーを捕まえるまで大変だなと考えていた。
店の店員に一緒に台車で運んでもらうくらいの始末である。
「じゃあ、タクシーが捕まる所まで…」
さすがに、店の店員もこれだけの買い物をしたので嫌な顔一つせず、
「はい。わかりました。」
この瞬間が、衝動買いがやめられない原因でもある。
「つまらない快感」「やな感じ…」
今度は、自分で自分に呆れている。これも衝動買いのあとの日課である。

そんなこんなで、台車を引き、店の正面に着き、台車から荷物を下した。
ホッと一息つこうと顔を上げた瞬間に何やらこっちを向いてニヤニヤと笑みを浮かべている男が目に入った。
目と目があった。そう、タクシードライバーである。
「やはり日頃の行いが良いから?ね。」
と、ぶつぶつ呟いていると、タクシーから男が降りてきて側によって来た。
「お客さん、どこまで?乗っていくでしょう?」
そんなタイミングのいいことに僕は一言聞いてみた。
「あれ?無線?」
男は、
「いやいや、偶然だよ偶然。」
「偶然?不自然?」
まぁ、すぐ乗れるにこしたことはないと、
「じゃあ、西葛西まで頼みます。」
と荷物を男とトランクに詰め込み、後部座席に座った。

そして、ワイシャツのポケットからタバコを取り出し吸おうとした瞬間
「お客さん!道教えてくれる?」
僕は、ア然とした。
なぜならタクシードライバーとしても勿論そうだが、
西葛西の行き方を知らないということにあきれた。
しかも、僕の地元を知らないという意味を込めて、
「えっ、知らないの?」
とバックミラーに映る男の顔を覗き込むように見るとその男はニコッと満面の笑顔で返してきた。
僕は何を返せばいいんだろう?と思うくらいのスマイルだった。
男は年齢四十代から五十代くらいで、不精髭をはやし、どう見ても一人もんだなという風貌。
僕は走り出した途端に、買ってしまったという妙な脱力感に近い満足感にかられボッーっと外を眺めていた。

しかし、よくあるパターンの御決まりのドライバーズトークが始まった。
「不景気でお客さん捕まえるの大変でね。」
僕は内心、
「店の入り口の前で待っていたかのようにすぐ僕を捕まえたくせに何言ってんだよ!」
と思っていた。
しばし、ドライバー自身によるドライバープレゼンツ路地裏裏街道トークが炸裂し始める。

相槌を打っていたのも束の間、
「お客さん、疲れているね。どうしたの?何かあったの?」
確かにその通りだった。
「この世界入って十年以上たつからね。分かるんだよすぐに…」
しかし、この時点ではまだ僕の中で、路地裏裏街道トーク第二章が始まったか?くらいの対応だった。
次回に続く...